学校での水泳授業がなくなるかもしれません。施設の老朽化による財政負担増、猛暑で屋外授業ができない、先生の負担軽減なども理由に挙げられています。学校の水泳授業は「民間のプール施設との連携」のほか「VR(仮想現実)の活用」などに代替策を求めていくそうです。YMCAでも学校から水泳授業を受託し始めています。YMCAが行う授業では泳げるだけではなく、水泳の楽しさや、できたという達成感、仲間の存在を感じながら水泳に親しむようなプログラムを提供したいと考えています。
さて、VRによる水泳授業とは「落水の瞬間を主観視点で疑似体験」「離岸流からの脱出シミュレーション」などを経験する、「水中ドローンや360度映像による水中を可視化した映像を見る」などだそうです。没入型学習といわれるVR学習のメリットは安全性の確保、場所を選ばない、とされています。言い換えれば、「安全のために」水辺に近寄らない、水辺でなくても安全教育が完結してしまう、ということになってしまいます。
学校の水泳授業は「25m泳げるようになる」ことよりも、「水から命を守る(水辺の安全教育)」へ変わっていくとされています。これはYMCAのアクアティックプログラム110年来の目的に合致していると言えます。YMCAでは自らの命を守るだけでなく、他者の命も大切に考えることを伝えます。これは救助法ではなく、水上安全の知識を他者に伝えることも大事な役割と考えているからです。YMCAで学んだ子どもたちが、家族や友だちに伝え、それがまた拡がっていくことで、水上安全の考えは無限に広がっていくことを願っています。
6月は全国のYMCAで水の安全キャンペーンが展開されます。大切な命が水の事故から守られますように。
(総主事 佐竹 博)