「ボランティア」という言葉をはじめに使ったのは、いつのどんな活動だろうか。ある大先輩から「宿題」としていただいてから3年経ってもいまだ解けずにいる。ある行為を「ボランティアである」と指定することは容易だろう。これは現在の価値観で過去の行為を認定する作業だ。ところが、過去のある時において「ボランティア募集」「〇名のボランティアが活躍」のように行為が認識され、言葉としての表現を見つけるのが難しい。
『横浜YMCA100年史』には「ボランティアのはじまり」という項に「これらの横浜YMCAで組織した学生たちの奉仕活動は蓋し横浜におけるボランティアのはしりといってよいだろう」とある。その「はしり」の活動が、横浜YMCAに残る「横浜基督教青年會會報」1908年6月号から半年間、巻頭に特集が組まれていた。それは、米国艦隊16隻が横浜に寄港、その歓迎行事にYMCAが参画したというものである。YMCAは、歓迎委員会に女性を加えること、酒などの提供をしないことなど11項目の提案が採択、その中心的役割を果たしたことがうかがえる。特に、50名以上の通訳を手配し、乗船員の横浜及び鎌倉散策の同行や、港周辺の商店や公的機関への派遣を行ったとあり、「英語学校生徒を無報酬で募集した」と記載がある。「ボランティア」の言葉は見つけられなかったが、組織的なボランティア活動が、期待以上の成果を残すほどの働きをした事実を、115年前に見つけることができ誇らしい気持ちになった。
ボランティアスピリットは今に受け継がれ、今も多世代の多くのボランティアがさまざま領域で生き生きとYMCAで活躍し、YMCAの歴史をつくり出している。
(総主事 佐竹博)