横浜YMCAでは、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと、多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど、相互交流の機会を設けています。
8月27日の午前にレソト2(インクルーシブ教育/特別支援教育の推進)、マラウィ1(空港建設、運営、維持管理計画策定)、ドミニカ1(インクルーシブ教育/特別支援教育の推進)、ガンビア1(漁業コミュニティー開発計画)、ペルー2(ユネスコMBA計画による生物圏保存地域対象とした持続性、植物遺伝資源の多様性保全に関する先端科学教育)、モザンビーク2(インクルーシブ教育/特別支援教育の推進)、ブラジル2(医療材料と再生医療、空港建設、運営、維持管理計画策定)、アフガニスタン1(インクルーシブ教育/特別支援教育の推進)の12名で石川町から横浜中華街、山下公園、マリンタワーをめぐりシーバスに乗船するツアーを行いました。
当日は桜木町駅までは、研修員同士も初めて顔を合わせる人が多かったので自己紹介をしながら汽車道を歩いて電車で石川町駅に行きました。参加した研修員の多くはまだ日本に来たばかりで、「こんなに遠くまで出かけるのも電車に乗るのも初めてで楽しみです」と話していました。
桜木町駅前では、開通当時の写真を見つけ、「今はとても近代的な建物ですが、とても古くからあった駅なのですね。昔の駅もきれいですね」と驚いた様子で写真を眺めていました。電車に乗るのが初めての研修員には経験のある研修員達が積極的に「ここに切符を入れるんだよ。」「通り抜けたら切符を取るのを忘れないで」と説明する姿が見られました。たった2駅の乗車でしたが、すっかり眠り込んでしまう研修員も居て、日本の電車は乗り心地が良かったようです。石川町の改札を出るときには切符が出てこないことに「記念に切符がほしかったのに残念!」と残念そうに話す研修員も居ました。
駅を出るとすぐにある、中華街の西の端の門の説明を聞いた研修員からは、門の役割に少し驚いたように大きな門を見上げていました。
中華街の中では中華学校に多くの子ども達がいるのを見た研修員から「土曜日なのに授業があるのですか?」と質問がありました。日本の公立の学校と私立の学校ではカリキュラムに違いがあることや、中国系の子ども達の為に建てられた私立の学校であること、最近は中国語を学ばせたいという日本人の子どもの入学希望も増えていることなどを説明すると「私の国では土曜日に学校はないので驚きました。国際的な学校なのですね。」と話していました。
またほかの研修員は「以前中華街に来たときには関帝廟は見られませんでした。美しいですね」と言って屋根の上を見つめていました。また、中華料理のクッキングスクールの看板を見つけた研修員は「レストランで食べるだけでなくスクールで学ぶことも出来るなんて素晴らしい。是非、習ってみたい!」と声が上がりました。多くの店が開店準備中で客足はまばらでしたが途切れずに並ぶ店を見て「やはり週末には多くの人が来ますか?それは日本中から来るのですか?」と中華街の規模に驚いた様子でした。
中華街を通りぬけた後はマリンタワーを目指しました。ビルの隙間から見え隠れするタワーに研修員達の気持ちも高まり、タワーのふもとに到着したときには思わず歓声をあげて、「これに登るんですね。上に登ると東京まで見えるかな」と登るのが待ちきれないといった様子の人もいました。シースルーガラスのエレベーターで展望フロアまで登ると、下から見上げていたときに想像していたよりも高くて、「こわくて窓際に近づけないわ」と言う研修員もいました。一方高いところが平気な研修員は、道路を歩く人の姿を、身を乗り出して覗き込んだり、JICA横浜の建物を見つけて写真に収めたりと思い思いに上空からの景色を楽しんでいました。東京タワーは見つけられなかったのですが、スカイツリーを見つけた研修員は「スカイツリーはマリンタワーの6倍の高さがあるの?想像できないよ」と大きく頭を振って信じられないと言った表情を浮かべていました。下が透けて見えるガラスの上に寝転んで写真を撮る研修員は「私はまるで空に浮かんでいるみたいですね。これは面白い!良い記念になります」と嬉しそうに話していました。
ひと時の空中散歩を楽しんだ後は山下公園へ向かい、シーバスの乗船時間まで自由に散策しました。特にフラワーガーデンと噴水が人気で、みな熱心に写真を撮っていました。「リズミカルに噴きあがる水が変化するのが美しくて面白いです。まるで本物の女神が水中から出てくるみたいに見えますね」と言ってしばらく噴水を眺める研修員もいました。
最後はみんなお待ちかねのシーバス乗船です。実際にシーバスを見て「自分の想像していた船の形とぜんぜん違う!」と驚く研修員もいました。レソトから来た研修員は「私の国は海に面していませんが船に乗るのは今日で3回目です。でもこの船が今まで乗った船の中で一番大きくて、一番快適です。海側から見る景色は公園とはまた違ってきれいですね。この揺れさえなければ最高なんだけどね」と話していました。
ツアーに参加した他の研修員からは「このツアーで異なる国や異なる研修に参加している人々とも仲良くなれてとても楽しかったです。この出会いは私が自分の国に帰った後も大切にしていきたいです」と感想がありました。
YMCAデスクでは今後も様々な体験を通して研修員同士の交流を深め、日本、横浜を学べる機会を作っていきたいと思います。
(JICA-YMCAデスク 野田真由美、石川義彦)