ふしぎだと思うこと
これが科学の芽です
よく観察してたしかめ
そして考えること
これが科学の茎です
そして最後になぞがとける
これが科学の花です
(朝永振一郎博士の言葉)
ノーベル物理学賞を受賞した朝永博士のこの言葉は、母校の筑波大学の小学3年生から応募できる懸賞論文「科学の芽」賞の由来となっている。
朝永博士が京都の青少年科学センターの色紙に書いたこの言葉は、ふしぎに思うことが、科学の芽、始まりだという。
幼少期の子どもたちには、毎日が不思議なことだらけだ。常に「なんで、どうして」と聞き続ける。すぐに答えが出なくても、自分で発見したことや気に入ったことをなんでも大好きな親に見せたい、知らせたいのだ。「ふしぎだね。すごいね。なぜだろう。どうしてだろう」と共感することが第一だが、育児と家事、仕事に追われる保護者は、なかなか子どもたちと「ふしぎなきもち」を分かち合い、共感する時間が持てないかもしれない。そのような時に、大自然の中で過ごす夏のキャンプやデイキャンプに参加することは、子どもたちが多くのふしぎと出会い、共感する仲間やリーダーとの出会いが心の芽を育む。保護者も子どもと異なる時間を過ごし、少し距離を置くと子どもの成長のふしぎを体感できたりする。
「知ることは感じることの半分も重要ではない」と海洋学者のレイチェル・カーソンは言う。幼い時に大自然に触れ、わくわくするような自然のふしぎ、神秘さを感じることが大事だ。何かを学ぶ時間より、ふしぎな思いを仲間とともに自分の心で感じ、そしてなぜだろうと考え、確かめてみる、そんな心の花開く夏休みを過ごしてほしいと思う。
(横浜YMCA総主事 田口 努)