横浜YMCAでは、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと、多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど、相互交流の機会を設けています。
7月17日(日)にスリランカ3(漁業コミュニティ開発計画)、モルディブ1(漁業コミュニティ開発計画)、ブラジル1(医用材料と再生医療)、フィリピン1(船舶安全)の6名の研修員が横浜港からみなとみらいエリアをバスでめぐり、横浜開港時代から現代に至るまでの歴史をたどりました。
最初に、開港時に横浜港としての中心的場所だった象の鼻パークを訪れました。研修員たちにとって“象の鼻”という公園の名前が不思議に思えたらしく、象と何か関係があるのかと考えた研修員もいました。埠頭の形状からくる名前の由来や歴史が分かると親しみがわいてきたようで、公園に小さな象のオブジェをみつけて楽しそうに笑っていました。転車台跡の展示を見つけて、関東大震災を経て大切に保存されている転車台を見て、改めて開港から続く横浜港の歴史を感じたようでした。
次いて横浜開港資料館へ向かいました。途中、横浜税関(クイーンの塔)と横浜開港記念館(ジャックの塔)のそばを通りニックネームの話を伝えると、チェスに由来するそれらのニックネームと建物の見た目を比べて「よく考えられている、おもしろい!」と納得していました。
開港資料館に入って最初に目に入るのが中庭にある大きな“たまくすの木”です。
ほぼ中庭一杯に生い茂る木が約150年前の横浜開港当時に生えていた木の子孫であるとわかると、研修員たちは庭の中を移動して、色々な角度から“たまくすの木”を見上げていました。ペリー来航時の絵にたまくすの木が描かれているのを見つけて「命とは不思議ですね。感動的ですね」としばらく木を見つめていました。
資料館内部では開港後の横浜の様子や横浜発祥の物についての展示を自由に見学しました。横浜発祥の石鹸の展示コーナーでは、「この白い塊は何ですか?どうして飾られていますか?」と質問がありました。日本で最初に石鹸が作られたのが横浜であるとわかると「これも海外から学んだ技術を研究・開発して横浜から世界に輸出したということなのですね」と納得していました。
見学後は一同歩いて山下公園へ向かいました。研修員たちは園内にあるインド人コミュニィティーから横浜に寄贈されたインド水塔で足を止め、美しいモザイク模様の天井に見入っていました。水塔にこめられた悲しい関東大震災の歴史とインドと日本の友好の話を知り、「歴史は悲しいけど、想いは素晴らしいですね」と思い思いに写真を撮っていました。
大桟橋に目を向けるとちょうど大型客船が停泊していました。間近で見る船の迫力に研修員たちも圧倒されていました。今も昔も変わらず横浜は日本の玄関口であると実感したようです。
一行はバスに戻ると今度は横浜ベイブリッジを目指しました。大黒ふ頭近くでは多くの乗車やトラックがとめられているのを見つけ「ここは工場ですか?なぜあんなに沢山車があるのですか?」と質問が上がりました。これから海外へ輸出される車であるとわかると、改めて横浜が国際貿易港であることを認識したようでした。
ベイブリッジを渡り、大黒パーキングエリアへトイレ休憩で立ち寄った際には、橋の途中に多くの車が停まっていることに研修員たちは驚いていました。母国には日本のようなサービスエリアやパーキングエリアが無いそうで、「安全に運転を続けるためにきちんと休憩所が整備されていることは素晴らしいです!」とパーキングエリアを気に入った様子でした。とても暑い日だったということもあり、「おいしい食事が取れたりやきれいなトイレを使えるたりすることで良いリフレッシュになるね」と話していた研修員たちも冷たいもので少しクールダウンしていました。
最後に三菱みなとみらい技術館を訪れました。館内には宇宙、海洋、エネルギーなど様々な分野で研究・開発・活用が進められている日本の最新技術について展示されていて、研修員たちはそれぞれ関心のある分野にわかれて熱心に説明を読んでいました。三菱重工の建造した船舶や飛行機の模型の展示コーナーを見学していた研修員は、「現在だけではなく、過去の歴史からもMITSUBISHIが素晴らしい技術を持っていたことがわかるね」と話していました。
出口近くでは研修員たちから「大桟橋に泊まっていた大型客船、ダイヤモンドプリンセスの模型があるよ!」と驚きの声が上がりました。
この船も三菱重工によって建造されていたとわかり、150年前に開港した横浜から今も世界へと、日本の最新技術で建造された大型客船が旅立っているのだと実感しました。最後に思いもかけずに過去から現代へのつながりを感じることができたツアーとなりました。
YMCAデスクでは今後も様々な体験を通して日本、横浜を学べる機会を作っていきたいと思います。
(JICA-YMCAデスク 野田 真由美、石川 義彦)