横浜YMCAでは、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと、多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど、相互交流の機会を設けています。
7月13日に、来日まもないスリランカ(漁業コミュニティ開発計画)2名がJICA横浜の近隣の歴史的建物・場所を歩いてめぐるビギナーズツアーに参加しました。
JICA横浜を出て最初に横浜赤レンガ倉庫に向かいました。赤レンガ倉庫は関東大震災前に建築された建物のうち大きな被害をまぬがれた数少ない建物の一つで、当時の最新の耐震・耐火技術を用いて建てられたことを説明しました。関東大震災で1号館倉庫は少し壊れたものの2号館倉庫と共に、現在もほぼ建設当時の姿のまま市民に有効利用されていることに研修員たちはとても驚いていました。
赤レンガ倉庫を後にし、日本大通り方面へ歩いて行くと横浜税関の建物が見えてきました。横浜税関は横浜三塔の一つで、クィーンの愛称でも有名な塔です。
約100年前に相次いで建築された三つの塔は当時、横浜港のランドマークで、外国人船員からそれぞれカードにちなんだニックネームを付けられ、横浜税関はクィーンの塔、神奈川県庁はキングの塔、横浜開港記念館はジャックの塔として、長年にわたって人々に愛されてきたことを説明しました。
「ニックネームどうりでクィーンの塔は女性らしく、キングの塔は堂々としていて男らしいね!」と研修員たちも納得していました。神奈川県庁の建物は建築当時、流行していた西洋的な石造りの建物の上に日本的な屋根のある塔をのせた建築スタイルであること(帝冠様式)を説明すると、「西洋と日本の融合だね。横浜らしいね。」と感心していました。
横浜三塔の中で唯一関東大震災前に建築された横浜開港記念館では中に入ってみました。2階に上がって最初に目に飛び込んでくるのが壁一面のステンドグラスです。右半分には開港当時、籠に乗って移動する外国人の姿が、左半分には様々な身分の日本人が同じ渡し船に乗る姿が描かれています。また、中央には不死鳥が描かれていて、不死鳥は大火事や震災、戦争によって何度も壊れ、その度に復興してきた横浜市の象徴でもあることを説明すると、研修員からは「確かに横浜の街はフェニックスと同じだね。素晴らしいことだ。」と声があがり、開港から現代まで横浜が歩んできた道が決して平たんではなかったことに思いをはせていました。
その後、日本大通りを歩いて日本最古の洋風公園の一つ、横浜公園通りを抜けて中華街を目指しました。
中華街は横浜開港後、西洋商人と共に通訳として日本に渡ってきた中国人によって作られた町であること、始めは理容室や洋裁店、大工・ペンキ店や家具屋などレストラン以外の店も多く、現在の中華街とは様子が違ったことなどを通りに飾られた写真を見ながら説明しました。
研修員たちは以前に中華街に来たことはあったそうですが、このツアーで中華街の歴史を知ることができてより横浜の歴史がわかったと話していました。
最後に元町・中華街からみなとみらい線に乗りました。研修員たちはJR桜木町を利用する機会は多いそうですが、みなとみらい線に乗るのは初めてとの事でした。みなとみらい線のプラットホームは地下3階にあることを伝えると大変驚いていました。改札口で切符、ICカードの購入の仕方についても説明し、帰途につきました。
歩く距離が少し長く、慌ただしいツアーとなってしましましたが、参加者からは「自分たちで見て回るだけではわからない建物の歴史や名前の由来など沢山知ることができてよい勉強になった」との感想がありました。
YMCAデスクでは今後も様々な体験を通して日本、横浜を学べる機会を作っていきたいと思います。
(JICA-YMCAデスク 野田真由美)