2016年1月10日日曜日

総主事コラム ブログ 2016年1月

より美しい世界に

あとからくる者のために
苦労するのだ 我慢をするのだ
田を耕ぬし
種を用意しておくのだ(中略)
あとからくる者のために
山を川を海を
きれいにしておくのだ
あとからくる者のために
みなそれぞれの力を傾けるのだ
あとからあとから続いてくる
あの可愛い者たちのために
未来を受継ぐ者たちのために
みなそれぞれ自分で出来る
何かをしてゆくのだ
(詩 坂村真民)

 この年末年始も、横浜YMCAの運営する富士山YMCAグローバル・エコ・ビレッジでは、ファミリーキャンプが行われ、富士山を仰ぐ雄大な朝霧高原の自然を満喫しながら家族同士のきずなを深める時となっている。
 このキャンプ場は、この詩のように、百年後の未来の子どもたちにプレゼンをする思いで、多くの方々の募金で創られた。富士山YMCAのキャンプをはじめ、多くの青少年団体のキャンプでは、キャンプの最後に「来た時よりも美しく」という合言葉で、たとえキャンプ場がゴミだらけであっても、前より美しく清掃するよう心掛けている。富士山YMCAでは、後に来る人のために、さらにワークとして、ペンキ塗りや修理、焼き板で看板をつけている。
 この詩にある言葉の本当の意味は、「生まれて来た時(今)より、より良い世界、より美しい世界(未来)にしていく」ことにある。見えない誰かの喜びを想像し、美しく整えていく小さな体験を積み重ねていきながら、人々の幸福を生み出す働き人になってほしいという願いが込められている。
 新しい年も、あとからくる者のために「来た時よりも美しく」、自分のできる何かを見つけて歩みたい。
(横浜YMCA総主事 田口 努)