2025年7月1日火曜日

140 YEARS OF HISTORY Vol.16 プログラムの領域を拡大

1977年からYMCA プログラムの領域拡大に特に重点が置かれるようになりました。当時の𠮷村恭二総主事からの報告では「従来の福祉の分野に押し込められていた身体に障がいのある青少年、心理的な障がいのある自閉症に悩む青少年への身体活動の組み立て、家庭教育の中核となる母親に対する学びへの招き入れ、横浜市の特色である貿易、通関業に携わる人びとへの特別教育コースの設定など、いずれも今後の継続した時間のなかで深まりが期待できる活動である」と伝えています。国際プログラムとしては、カナダ、サンディエゴ、東南アジアセミナーへの派遣、光州YMCAへ小学生を派遣するなど活発な動きがありました。日常のプログラムでは青少年をとりまく環境の中心となる家庭の変容に強調点がおかれました。1970年後半から1980年代前半頃まで開発と拡大が行われていました。1970年代の特別に重点を置いた方針のひとつとして青少年リーダーシップの養成があり、1978年には、青少年指導者養成基金が設置されました。これにより毎年一定のリーダーシップ養成が確実になり、さらに海外への派遣も含めてできるようになりました。プログラム領域の拡大としては、日本で最初の試みとして「目の不自由な子どもたちの水泳教室」(1978年)、「情緒障がい児体育指導者夏季研修会」(1979年)などが行われ、続けられました。(文中には当時の表現をそのまま用いています)

視覚障がい児のための水泳教室(1977年)

経営職?

YMCAでは「顧客」「儲け・利益」などの用語をあまり使用しません。YMCAの公益的な働きにそぐわないのであえて避けているのだと思います。 YMCAの事業は、使命に基づき、社会問題をとらえ、自分たちのリソースを活用して社会課題に取り組む、いわゆる手段です。しかしその形態は一般的にみて、ほとんどが企業のものなどと「競合」している現実があります。同様の事業を行っている業界のセミナーを受けたり、資格取得に挑戦したり、私たちはその業界から「顧客満足度」「利益」といった言葉で学ぶこともあります。 

日本経済新聞に「7割以上が管理職になりたくない」という調査結果をもとに「管理職」を「経営職」と呼んではどうかというコラムがありました。「管理職」が嫌われるのは、調整事務管理、トラブル対応もあることなどが理由にあるそうです。本来的には管理職はマネジャーでありマネジメントを担うのは、経営を担う層のこと、組織の代表者だけが経営者ではなく、部門やチームの大小にかかわらず意思決定をしていくのが経営者だということで経営職の説明がありました。

YMCAの責任者もそれぞれの部署で地域や社会や人びとのためにすべきことを展開する点では経営職に相当すると思います。そして管理のためのビジネス知識やスキルではなく、あらゆる場面の意思決定のために学び、自らを高め成長させていく意欲のある人材が担うものと考えます。私はYMCA運動を実践する事業の推進者は「管理職」ではないと共感するのですが、「経営職」もYMCA人である私の頭にはなじまないのです。未来の担い手を育てるために考える日々です。

                              (総主事:佐竹博)


【健康教育部】富士山YMCAで宿泊研修を行ってきました

 6月28日(土)~29日(日)の1泊2日で富士山YMCAグローバルエコヴィレッジにて、健康教育部のスタッフが集まり研修会を行いました。夏季プログラム前に安全についてを確認し、スタッフ間のコミュニケーションを高める時間や、講師を招いて学びを深める2日間となりました。
富士山YMCAにスタッフ一同が集まりました

少人数で楽しい課題をクリアしていきます

楽しみながらコミュニケーションをとりました

特に外部講師として、昭和女子大学健康デザイン学科白川教授より「栄養と運動について」をテーマに普段子どもたちや大人の皆さんへプログラムを提供していると同時に、食事や睡眠の大切さとこれからの季節で注意することを改めて学び、今後スタッフひとり一人がさらに安全に健康のプログラムが提供できるきっかけとなりました。
白川教授より安全に運動をするために必要なことは?

グループで話し合って発表も出来ました

自身の健康についても考える良いきっかけになりました

夕食、朝食は富士山YMCA食堂からバランスのとれた美味しい食事をいただきました


夜の懇親会ではグループ対抗でボール運びやジェスチャーゲームで盛り上がりました

2日目はグループで協力して野外炊事(カレー作り)を行いました。リーダーを決めて工程を皆で考え役割分担しながら時間内に食事を作ることを目標に調理開始。
役割分担して上手に調理出来ました

カマドに火をつける際には制限があり、時間がかかりましたが工夫をして上手く火がつきました。普段あまり使わない飯盒でお米の分量も相談しながら上手にご飯が炊けました。

2日間を通して普段の業務を皆で共有してスムーズに進めることが出来るか?アイディアを出し合ってより楽しい活動が提供できるか?また、そのYMCA活動全てが安全に保たれているのか?を改めて考えることが出来ました。
2日間の学びを皆で共有

7月に入り多くの会員の皆様がYMCAに来てくださります。安全で楽しいプログラムの提供が出来るようにこの学びを活かしていきたいと思います。

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横浜YMCA健康教育部スタッフ一同

2025年6月26日木曜日

【健康教育部】キャンプリーダー座学トレーニングを実施しました!

先日、今年度のサマーキャンプに向けた座学トレーニングを行いました。
YMCAキャンプの歴史や子どもたちとどう向き合ってキャンプ生活をしていくのか?また、リーダーとして必要な「コミュニケーション力」「キャンプ・対象(子どもたち)理解」などのテーマを中心に学びを深めました。
キリスト教理解とYMCAキャンプ理解について担当スタッフより

小人数グループで意見交換

キャンプは”人と人”のつながりから生まれる場所。
まずはリーダー同士、そして子どもたちとの信頼関係を築くために必要なコミュニケーションについて考えました。
「グループワーク理解」は講師の岡田麻唯氏

色々なグループワークを通してリーダー自身がまず相手に興味を持ち、耳を傾けること。
それが信頼関係作りの第一歩として考え、取り組みました!

今回のトレーニングを通して、リーダー一人ひとりが「子どもたちとどう関わるか」「自分がどんなリーダーでいたいか」を考えるきっかけになりました。
キャンプは、子どもたちにとってかけがえのない体験であると同時に、リーダーにとっても自分を見つめ、成長する機会になります。
さあ、いよいよ本番のキャンプに向けて準備が始まります!
これからもリーダーたちとともに、安全で、楽しく、心に残るキャンプを創っていきます!


横浜YMCAサマーキャンプ担当者一同

2025年6月5日木曜日

2025年度 横浜YMCA会員総会 報告

531日に、2025年度横浜YMCA会員総会が湘南とつかYMCAホールの会場とライブ配信にて行われました。

開会礼拝後に、総会準備委員会委員長岡戸良子氏より開会のあいさつがあった後、黄崇子議長、中村敦副議長により議案が進行されました。議事は、2024年度事業・会計報告、2025年度の活動方針計画と予算について、佐竹博横浜YMCA総主事から報告と説明がありました。また、常議員の選出と退任常議員への感謝と紹介がありました。



特別プログラムでは、能登半島地震・豪雨災害被災地に思いを寄せるをテーマに、支援活動に取り組んだ4人のスタッフから活動の報告があり、参加した高校生や専門学校の学生の様子などについても報告がありました。今後も募金や支援活動の必要性が語られました。


続く、会員表彰では31人のリーダーが表彰されました。受賞したリーダーを代表して川崎YMCAの松本愛李さんがこれまでの活動を振り返り、リーダー活動は仲間と取り組むことが楽しいと話し、3年間の経験が豊かな時となったこととYMCAでなければ出会えなかった仲間との出会いがあったことなどを話し、多くの人に支えられた感謝の言葉を語りました。

続いて、これまでの素晴らしいご奉仕を永久に私たちが覚え続け、良き模範として記念するための「奉仕の書」には、石橋正彦さん(大和YMCA運営委員)の名が記されることになり、紹介されました。工藤誠一理事長から記念の盾が授与された後、受賞のあいさつで石橋さんは、中学の時から触れた「人になれ奉仕せよ」にまつわる話を紹介し、「YMCAで奉仕ができたことは、本当に幸せでした」と振り返り、感謝の言葉を述べました。 


なお、議事は、会場とオンラインによる決議により議案がすべて承認されたことが、黄議長より報告されました。閉会礼拝が行われた後、工藤誠一理事長が会員総会に関わったすべての人に感謝の言葉を述べました。続いて佐竹博総主事より感謝のあいさつがあり、会員の皆さまとともに地域や社会に必要な活動を展開していきましょうと述べました。

会場の湘南とつかYMCAのエントランスでは、能登半島地震・豪雨被災地支援のための物産展・輪島塗りリユース販売やタイの子どもたちの支援につながるパヤオクラフト販売などが行われたほか、開会前には、国際・地域事業によるグローバル・スタディーツアーinタイの報告とミャンマーの状況の報告がありました。


会員総会を通して、会員の皆さまとともに、2024年度の活動を振り返り、2025年度も使命実現のために、VISION2034第2期中期計画に沿って地域や社会に必要とされる横浜YMCAの歩みを進めていくことを確認しました。

会員総会にご参加いただいた皆さまに心から感謝いたします。

                               本部事務局

2025年6月2日月曜日

140 YEARS OF HISTORY Vol.15 横浜YMCAと合体した鎌倉YMCA 教育活動・グループ活動盛んに

湘南の地に藤沢YMCAが設立されることと合わせて近隣にある鎌倉YMCAと共同で神奈川県下のYMCAを一つの広域化組織として統合する研究が行われていました。横浜と鎌倉のYMCAから4人ずつの委員が選出され研究が進められました。委員会からの答申案に基づいて協議を重ねた結果、合体して一つの組織になることを1978年3月に決定しました。鎌倉YMCAと横浜YMCAは1978年4月から、鎌倉YMCAは横浜YMCAの一つのブランチとなりました。初代の運営委員長には前日本YMCA同盟総主事大和久泰太郎氏が選任されました。この年の1月に鎌倉YMCAの総主事であった安永和夫氏(横浜YMCA主事から移籍)が退職し、長澤勲主任主事が配属されました。

1945年後半の時期の鎌倉YMCAの活動は、鎌倉在住の理事の自宅を借りて少年たちの夏期英語講習等を行っていました。1951年6月には第1回鎌倉青少年問題懇談会が鎌倉教会祈祷室で開かれました。1954年には鎌倉の青少年のための活動が活発化したため、横浜YMCAからスタッフを派遣し応援しました。以降、鎌倉教会敷地内に仮の小会館を建設し、教育活動やグループ活動を行っていました。その間、幾多の消長の末、1976年に創立20周年を迎えた2年後に横浜YMCAと合体し、1981年に30周年を迎え鎌倉商工会議所にて記念式典を行いました。

 鎌倉教会内にあった当時の鎌倉YMCA(1950年代)


三位一体

地元の集会で開会礼拝を担当した牧師が、教会の働きから3つを説明されました。①聖書に基づきしっかり立つ。聖書を真剣に学び、生き方の基盤とする。②愛の業に励む。人権意識を持ち、弱くされている人のための救済・解放に励む。③若い人たちに委ねていく。その時の若い人たちの心のよりどころとなり、集う若い人たちに継承を委ねる。

その牧師によれば、クリスチャン人口が大いに増えた時代は、この3つが同時に行われていたそうで、現代社会においても3つ同時の展開が必要だとの見解を示されました。例えば②は、多くの寄附を集め、ダイナミックな活動をしている団体はたくさんあります。③も同様で、青年が集い、自主的な活動をしている団体が、法人という枠を超えて常に新しい形態で生まれています。①だけに取り組んでいては、クリスチャン以外の人たちが、教会に近づかないというのです。しかし、クリスチャンの高齢化と減少が危惧される中、3つを同時にすることは難しいだろう、という結論でした。

YMCAならどうでしょうか。掲げている使命に②と③は備わっています。しかし②・③を専門にしている有名な団体からは差をあけられていないでしょうか。私たちが、隣人のために仕える働きをする団体で、ユースエンパワ―メントに取り組んでいる団体だ、と具体的な行動を伴いつつ、社会に発信していく必要があります。そして聖書に学び、イエス・キリストの生き方に基づいて行動し、キリストの香りを放ち続けていくことが本当にできたなら、3つの働きを同時にできたYMCAは、多くの人びととともに150年も200年も社会・地域・人びとに必要とされるYMCAであり続けられると思うのです。

(総主事 佐竹博)