2024年11月1日金曜日

私の瞳が濡れているのは

10月のある日の礼拝で讃美歌532番を歌いました。これまでに何度か歌っていますが、なぜかまともに最後まで歌えたことがありません。過去何度かの経験により、イントロでグググっと押し寄せてくる波は堪えることができます。歌いだし「ひとたびは死にし身もー主によりていま生―きぬー」だけで鼻の奥がツンとなり、さらに大きな波が押し寄せてきます。「昼となく夜―となく―」あたりではもう歌えなくなっています。

ようやく3節あたりで持ち直しますが、鼻の詰まった声で「アーメン」を絞り出すのがやっとです。悲しいわけでもないし、何か特別の思い入れや、何か印象的な式やシーンとセットなわけでもないのですが、この讃美歌は私の心を揺さぶります。

10月5日、横浜海岸教会で横浜YMCA創立140周年記念礼拝を行いました。100名を超えるYMCA関係者と共に礼拝の時を持ち、祈りを捧げることができました。

礼拝の中で歌ったのは讃美歌21 412番(讃美歌234番A)、私の知る限り横浜YMCA会員総会では必ず歌われ、YMCA行事では何度も歌ってきた讃美歌です。1節はYMCA混声合唱団による素晴らしいコーラスが心地よく、2節より会衆みんなで歌いました。「歴―史のながーれ旧きものをー」会衆の声がひと塊となり、最前列にいた私は背中にものすごい勢いを感じました。大合唱だけでなく、思いが一つになったものだったからだと思います。私は背中にその圧力を感じながら、歌いだすと同時に、涙腺が緩み視界がぼやけました。心揺さぶられました。

松山千春さんの「旅立ち」に「私の瞳が濡れているのは、涙なんかじゃないわ」という歌詞がありますが、私のは涙でした。

(総主事 佐竹博)