神戸大学名誉教授のロニーアレキサンダーさんは、インターネット上に「あなたは今日、どんな平和に出会いましたか?」という「一言の平和」コーナーを開設している。ある人の投稿は、平和とは笑顔を分かち合う「私」から始まる行為で、それは、平和は人それぞれの心の中にあるからだと。ある人は、布団にもぐっている時が平和だという。ただし、暑くなるまでのつかの間の平和であり、平和とは季節によって変わるという気づきが付け加えられている。またある人にとっての平和とは、家族が安全で健康で生き生きとしていることだといい、自分以外の誰かが平和の対象なのだ。
8月は平和を考えることが特に多い。目指す平和は、「戦争など争いがない状態」のことではなく「一言の平和」にあるように、その時々で変わる状況の中、自分だけでなく、他者への思いも含まれる、聖書に示されたキリスト教の価値観に基づく。「平和の実現」を目指すためにはどのような行動が必要なのだろうか、と考えることしばしばである。
関田寛雄牧師は、キング牧師の説教より「我々の目的は白人に勝つことではない。誤った敵意をなくすことにある」を引用し「敵意をなくすためには、愛しかないのだ。」と語った。
教会の礼拝やYMCAの集会における私たちの祈りには、自分以外の誰か、時には会ったことのない誰かのことに思いを馳せる祈りが含まれる。そのような祈りをするひと時、私は平和を創り出す人に少しでも近づいているだろうかと自問する。
それぞれの心にある誰かを思う優しい気持ちが、言葉となり、行動につながり平和の実現へつながっていくことを信じ、この夏も祈っていく。
(総主事 佐竹 博)