山の頂に立つ3本の木には夢があった。
1本目の木の夢は、最も美しいものを入れる宝箱になることだったが実際には、桶となり小屋の隅に置かれた。美しさや所有物などが他者からの評価の対象となることがあるが、私たちYMCAは、小さく弱くされている人に寄り添い、愛と奉仕の行動で社会に貢献しようとしている。
2本目の木の夢は、最も頑丈で強い帆船になることだったが、漁師を乗せる船となった。スポーツの祭典で掲げられるモットーのように、より速く・高く・強く、が他者との優劣を決することがあるが、私たちYMCAは、それぞれがよりよくなる目標を持ち、それを尊重するwellnessをプログラムで提唱し、一人ひとりの目標達成を応援している。
3本目の木の夢は、人びとが見上げる最も高い木になることだったが、切り出され角材として倉庫に保管された。目標を持つことは大切なことだが、一番になることだけがすべてとは限らない。私たちYMCAでは、一人ひとりを大切にし、それぞれの違いを認め共に生きることを目指している。
さて、3本の木の夢はその後実現する。桶には生まれたばかりの赤子が眠り、やがて赤子は成長し青年となり、漁船に乗り嵐を鎮める。そしてその青年は私たちの罪とともに角材を背負い丘の上に向かい、今私たちが見上げる十字架となった。
桶となった1本目の木が、赤子を抱いた時をまもなく迎えようとしている。世界のすべての場所ですべての人が、穏やかに、安全で安心な中で御子の誕生を祝うことができることを心から願う。メリークリスマス。
※「三本の木」いのちのことば社
(総主事 佐竹 博)