2022年4月2日土曜日

「OR」より「AND」

 『ビジョナリーカンパニー』(日経BP出版センター)によると、先見的、未来志向、業界で卓越し、社会に大きなインパクトを世に与え続ける企業には12の特徴があるとされ、その一つが「ORの抑制、ANDの才能」である。

「ORの抑制」とは私たちが日常的に持つ理想と現実などの狭間で行う選択の志向であり、組織においても「利益を超えた目的か現実的な利益」「長期的視野に立った投資か短期的な成果の要求」「基本理念に充実な組織か環境に適応する組織」などがこれにあたる。これらを同時に目指す「AND」は、相反する(と思われる)両者のバランスをとるものでも、半々の達成でも、混ぜてしまおうというのでもなく、両者がそれぞれを追求し達成し続けることが必要であるとのことから「才能」と表現されている。「ANDの才能」は個人一代限りでなく長年にわたる組織の努力により得られるものだという。

YMCAはイエス・キリストの生き方に倣うことを目指し、ビジョンを掲げ、活動を展開する。キリスト教の価値観に基づき目指す世界観と、その時代に合わせた使命に基づく活動が両立する。活動は、ある時代の、ある地域における課題や、必要とされる事柄に事業を通し、取り組んでいる。理想か現実かといった抽象的な「OR」でなく、平和で公正な社会の実現と、地域の諸課題の解決、どちらも実現させる「AND」を求め続け、10月には創立138周年を迎えようとしている。平和で公正な世界を希求し、平和をつくり出す人を育み、常に社会に目を向け、具体的に活動を通して働きかけ続けていく。未来を見据えて、使命実現の実を刈り入れるために土地を耕し、種をまき育てていくことをこの1年の目標とする。

(総主事 佐竹 博)