2021年10月9日土曜日

Social

「ソーシャル」は世の中にあふれている。インクルージョン・レスポンシビリティ・ワーカーなどと合わせてYMCAでも多用している。語源をたどると中期フランス語を経てラテン語sociālis (仲間に所属して)→ socius(仲間)へとさかのぼるのだそうだ。広く人も事象も含めた「社会一般」のイメージで捉えがちだが、本来的には「仲間・共同体」に基づくありようを意識して用いることに気づかされた。

そのような「ソーシャル」を意識してYMCAはこの言葉を用いていくのだと改めて責任を感じる。横浜YMCAでは「ソーシャル・ディスタンス」という表現をしないことを正式に表明している。WHOでも「フィジカル・ディスタンシング」という表現を推奨している。

横浜YMCAでは感染拡大予防の観点から、物理的な距離を適正に保つことを目指して、観覧席、教室の席、クラスに並ぶ子どもたちの列などの間隔を取り、飛沫防止シート設置、定員管理・利用人数制限などに取り組んでいる。しかし、それは社会からの切り離しや、関係の断絶(ソーシャル・ディスタンス)ではない。物理的に近距離に集まることが出来なくても各現場で工夫し、一体感を感じることが出来るようにしている。またオンラインという手段を活用し、出会いや交流の機会を維持してきた。その中から新たな活動も生まれつつある。

「灯を掲げ明かりに集めるより、明かりを必要としている暗闇に行って灯をともすことがYMCAに求められている」とある牧師のメッセージにあった。社会との接点を見出していくことをこれからも続けていく。多くの未来を担う子どもたちを守るためにも社会全体が「共同体」として、もうしばらく感染予防に努めたい。

(横浜YMCA総主事 佐竹博)