10月5日(水)にベニン、コートジボワール(事例から学ぶ沿岸水産資源の共同管理の実践)の2名で馬車道駅から桜木町駅周辺を散策しながら日本での生活に必要な近隣の地理や日本の文化・生活習慣について学ぶビギナーズツアーを行いました。
研修員たちは来日してまだ間もなく、JICA横浜の外に出る機会もあまりなく、通りで目にする物すべてが興味の対象となっているようでした。途中見つけた郵便ポストは「POST」の文字をみてようやく郵便関係で使用すると理解できましたが、母国には郵便ポストがないそうで、無人の箱に集められた手紙が日本や世界中にきちんと配達されるシステムに大変驚いていました。また通り沿いのコインパーキングも無人で運営されているとわかると、さらに驚いていました。最初、駐車料金が高いのでは、と話していた研修員も、駐車違反の罰金が高額なことを知ると、日本人の多くがきちんとコインパーキングを利用することに納得していました。
馬車道駅では研修員たちがまだ地下鉄を使ったことがないという事だったので、改札口まで降りてみました。降りても降りても、下へ続くエスカレーターと、帰宅ラッシュ時で多くの人々が次々に改札を通り抜けていく様子をびっくりしたように眺めていました。深い地下なのにカフェなどお店があって明るく、快適な環境で想像していた地下鉄とはずいぶん違うと話していました。 また地上へ上がる出口がたくさんあり、まるで迷路のようだと混乱していましたが、不思議な馬車道駅がすっかり気に入ったようでした。
地上に戻り、馬車道通りに差し掛かると、研修員たちからは歓声が上がりました。通りに沿って街路樹が植えられ、歴史的な建物と商店が夕暮れ時にぼんやりと浮かぶ風景が特に美しいと喜んでいました。通り沿いにはラーメン店や美容院、居酒屋など初めて見る店も多く、興味は尽きませんでした。居酒屋の店先で焼き鳥のメニューを見たコートジボワールの研修員は串料理の値段の安さと種類の多さに特に興味を持ったようで、まだJICAのレストランでしか食事をしたことが無いから是非、試してみたいと意欲を見せていました。
関内駅付近の大型ドラッグストアでは洗濯洗剤などの日用品を一通り見て回りましたが研修員たちが最も興味を持ったのは意外にもお米のコーナーでした。母国でも米を食べる習慣があるそうですが、日本の米とは異なる細長い形で、日本の米を見たのは初めてだと話していました。少量包装の米や銘柄の種類、パッケージの絵の華やかさなど、同じ米でも母国とはずいぶん異なることに食文化の違いを発見したようでした。しかし自分たちの国で食べている種類の米は売っていなかったので少し残念そうでした。
その後、桜木町駅では研修員たちが週末に秋葉原へ出かけるとの事なので、窓口と券売機での切符の購入方法を確認しました。券売機はお金の挿入口や切符の出てくる場所などがいくつもあり複雑そうに見えるけれど、慣れれば大丈夫そうだと熱心に手順を覚えていました。
最後に日本のスーパーマーケットに行ってみたいとの事だったので、コレットマーレ地下のスーパーマーケットに立ち寄りました。フルーツや野菜、魚などどれも研修員たちにとっては見たことがないものばかりで次々に質問が飛び出しました。中でも“釜揚げシラス”に衝撃を受けたようで、「どのように食べますか?捕まえる方法は?」と質問が止まりませんでした。よほど驚いたらしく、しばらく釜揚げシラスのコーナーを離れることが出来ませんでした。
続いてベニン出身の研修員から日本酒を見たいとリクエストがあり、早速日本酒のコーナーへ。カップ酒を飲んだら美味しかったと話していましたが、売り場へ行くと日本酒の種類の多さにびっくりしていました。日本酒が米から作られていることや、ワインのように味にも違いがあることなどを聞くと、日本にいる間に飲み比べてみたいと目を輝かせていました。
JICAまでの帰り道にライトアップされた日本丸や遊園地、対岸のビルを眺めながらコートジボアール出身の研修員は「私は日本が大好きで、ずっと日本に来るのが夢でした。特に日本人の穏やかで親切なところが好きです。今日歩いて回って色々なことを知り、ますますこの横浜と日本が好きになりました。」と、しみじみ話していたのが印象的でした。
短い時間でしたが研修員たちにとっては日本の文化に習慣に触れるよい機会となったようでした。YMCAではこれからも様々な体験を通して日本や横浜について学べる機会を作っていきたいと思います。
(JICA-YMCAデスク 野田 真由美)