2015年12月21日月曜日

総主事コラム ブログ 2015年12月

「よろこびの時!」

ゆたかなの?まずしいの?
あったかいの?つめたいの?
もっとほかに、なにかあってもいいんじゃない?
大きくなくて、
小さくもなくて、
お店のショーウインドーには、かざっていないもの。
そして、だれも買わないもの。
ちょっと聞いてもいいかな?
かみさまからのプレゼントっていうのも、そこにある?

 絵本「クリスマスってなあに?」(著マックス・ボリガー)の冒頭の一節だ。マックス・ボリガーは、スイス生まれで、小学校教師を経て障がい児教育に従事。その後、児童文学作家となり、寛容な心を育てるために「互いを理解し合うこと」「忍耐強くあること」をライフワークとしている。
 この絵本の主人公アッシアは、戦争を逃れてヨーロッパにきた難民の子だ。自分の国には無いクリスマスってなんだろうと、学校のお友だちに聞くと、クリスマスプレゼントやクリスマスケーキの話など一生懸命、説明してくれるが分からない。先生からクリスマスの物語を聞き登場人物である3人の博士の一人が、縮れた髪の毛とこげ茶色の肌をしたアッシアと同じと分かり身近に感じる。生誕劇では、アッシアが一番の適任で、クラスの仲間たちもアッシアが大切な友だちであることを理解する物語だ。「クリスマスって、みんなにとってよろこびの時!」と最後に語る。
 困難な中にある難民アシッアが故に、豊かな物であふれるクリスマスではなく、見えなくても平和の喜びを分かち合うというクリスマスの本当の意味を感じ取る。
 アシッアのように戦火や災害などで故郷から逃れる難民が世界中で増えた一年だった。困難にある人を憶えて募金するなど喜びを分かち合うクリスマスでありたい。
(横浜YMCA総主事 田口 努)