中国人との交流から平和を考える
戦争中のスローガンに「八紘一宇」「大東亜共栄圏」というものがありました。いずれも我が国がリーダーとして君臨するといったことを言外にしているようで私には親しめませんでした。
その背景には、戦前から父の勤める会社の中国人のコックさんが、いつもニコニコと笑顔で、毎日出される食事はどれもとても評判がよく、祭りや記念祭の時には、社宅にくまなく配られる中華まんじゅうが好評でした。社員にも社宅に住む社員の家族にも人気のあるコックさんでした。私は近隣諸国の人びとがあのコックさん同様素晴らしい素質を持っている人が多いに違いないと思い、共に助け合い、励まし合い、素晴らしい東南アジアを築いていきたいと思っていました。
近年技術習得の研修生として、来日している東南アジアの人びとが雇われ先で、不幸な目に遭い、逃げ出して、さらに一層不幸な目に遭っているという報道や新聞記事を見るたびに、こんなことでいいのか、戦時中と変わりないのではないかと暗い気持ちになります。反面、実習を終え帰国後、すぐに日本で働いて家を新築し、雇い主にお礼として招待したいという便りを受け取った雇い主が涙を流したという話も聞いていました。
日本で学ぶ多くの技術研修生が無事に笑顔で帰国ができ、日本での学びが活かされ、希望する職種に就くことができる平和な日々が続く時が来ることを祈っています。
(厚木ワイズメンズクラブ 田口堅吉)