2022年3月3日木曜日

ピンクシャツデー トークイベント 「ピンクシャツデーってなぁに?いじめのない社会をめざして」

2月はピンクシャツデー月間!

ピンクシャツデー運動はどんな思いで始まったのだろう?いじめのない社会をつくるために、私たちにできることは何だろう?

みんなで一緒に考えるために、ピンクシャツデー当日の2月23日に、オンライントークイベントを開催し、約70名の参加者がありました。

トークイベントでは、3人のゲストスピーカーをお招きし、それぞれの立場からいじめや差別にまつわる経験をお話をいただきました。


一人目のスピーカーである百瀬ミレナ美恵さんは、ご家族の都合により小学生の頃にブラジルから日本へやってきました。転校先の小学校では、日本語をからかわれたり嫌がらせをされたりと、周りのお友だちの心無い言動に傷つき、日本へ来ることを決めた両親につらく当たったこともあるといいます。
それでもそんなつらい時期を乗り越えられたのは、第一には両親がいつもたくさんの愛情をもって接し、温かく見守ってくれたから、そして、寄り添ってくれる友だちの存在、一歩踏み込んだところまで関わってくれた先生の存在が大きかったと話してくださいました。
百瀬さんは今、保育士として子どもたち、そして保護者に寄り添う働きをしています。

二人目のスピーカーは、酒井隆成さんです。酒井さんは小学2年生の頃にトゥレット症候群と診断されました。トゥレットの症状を周りの友だちにからかわれることが多くなり、次第に学校に行きたくないと思うようになったそうです。
からかいやいじめのような扱いを受けつつも、理解してくれる友だちや担任の先生に支えられながら小学校生活を過ごしました。中学生の時に父親の仕事の都合により渡米し、それまで日本では奇異の目で見られることが多かったトゥレット症の症状ですが、アメリカでの生活においては特別視されることもなく、すんなりと受け入れてもらえたことがとても衝撃的だったといいます。
酒井さんは帰国後も日本社会において様々な差別や障壁を乗り越えながら生活しています。トゥレットの症状についても、人それぞれが持つ特性の一つとして受け入れてもらえたら、みんなが過ごしやすい社会になるのではとお話しくださいました。
偏見を持たれることが多い酒井さんですが、実は酒井さんも周りの人に対して偏見の目で見てしまうことがあるそうです。
誰もが自分の中に偏見があることを素直に認めて、そのこととどう向き合っていくかが大事なのではないかと話してくれました。

最後に、スクールカウンセラーとして子どもや保護者、教職員の皆さんに寄り添う活動をしている川浦弥生さんにお話を伺いました。
川浦さんは子どものころにいじめられた経験もいじめた経験もあり、今回、当時の経験を振り返り、クラスで何となく浮いてしまっているお友だちに対して、何か異質なものを感じて仲良くできなかったことについて話してくださいました。
いじめの程度はからかいやいじりから暴言・暴力といった犯罪行為まで幅広く、どこかのタイミングで表出してきます。そんな時、いじめにあっている子どもはもちろんその行為によって苦しんでいるし、いじめてしまった子どもも、人とうまく関係を築けない、自信がない、不安が強く結論を急ぐ、というような成長の課題を抱えています。
いじめが起きてしまったときに、大人がどのような対応をするかがとても重要で、低学年・高学年で対応の仕方は異なりますが、大人が見ているよということ、子どもを孤立させないということが子どもを支えていく力になります。子どもは大人の姿勢から学びます。いじめの対応に対してこれが正解というものはなく、ケースバイケースではありますが、子どもたちとの関係性を丁寧に築いていくことが大切です。同時に、日々の生活の中で、繰り返し人権や差別といったことを大人が子どもたちに伝えていくことが必要だとお話しくださいました。

百瀬さん、酒井さん、川浦さんのお話を伺って、子どもがいじめに悩んでいるときに近くにいる大人が子どもを守ろうという強い気持ちで接すること、大人と子どもが普段からコミュニケーションが取れる関係性を築いておくこと、大人としての行動に責任を持つことなど、ともに学ぶことができました。


以下に、参加された方の感想の一部をご紹介いたします。
・大人の役割の大切さ、愛をもって接することが本当に大切だということを強く感じました。日常的な言動や行動が差別や偏見につながること、その人をそのまま受け入れることの大切さが伝わってきました。
・いじめる側、いじめられる側ともにケースバイケースで話をよくきいて、寄り添っていく、という話が心に残りました。日常の中でも、心に留め、行動に移していきたいと思います。
・価値観の違いや知らないことはたくさんありますが、自分とは違うから、知らないからという理由で自分の世界から排除していくことだけはやめようと思いました。
・いじめをする人の心の中にも自信のなさをもっていたり、うらがえしで強がってみたり、向き合えない弱さをもっていたり、複雑な思いを持っていることに気づきました。相手を知ろうとしなければ理解につながらない。人権を守るというのはみんなで繰り返し学び続けることが大切であると思いました。

参加者の皆さまもいじめのない社会を想い、ピンクのものを身に着けて参加くださいました!


これからもピンクシャツデーの想いを大切に、いじめのない社会をめざして取り組みを進めてまいります。

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#YMCAPINK #YMCAピンクシャツデー