2021年5月15日土曜日

言葉

4月7日の夕刊1面、朝日新聞、毎日新聞ともに言葉に関する記事だった。朝日は国語辞典のジェンダーに関する使用語見直しについて。口紅(女性の化粧品→化粧品)、手離れ(母親が→親が)、恋愛(特定の異性に対して→特定の相手に対して)などの事例が紹介され、辞書も時代の変化に合わせ「固定化されてきた、性的役割分業やイメージ」を改めようとしている。毎日は、戦争用語を常用する文化について。兵隊・遊軍・戦略・撃破・一騎打ち・主砲・参戦など思い起こせばたくさんある。

ジェンダーに関する言葉は、深い配慮が書き手に求められる。戦争用語はその悲惨さより積極性の象徴として一般的に用いられている。「そんなつもりじゃなかった」は、理由にならないことを人権研修では繰り返し学ぶ。戦争用語は、男性中心の体制を変えられないことが使われ続く理由であろうとの説が紹介されていた。つまりジェンダーの課題とともにあり、どちらも一律に排除すれば良いものではなく、実態が伴わなければならないはずである。

「YMCAは横文字が多い」とご指摘を受けることがある。日本語で表現できないキリスト教的な思想、先進の考え方や理論などを日本社会のために取り入れてきているからだろう。言葉が独り歩きしないよう丁寧に伝え、理解が深まるようにすることが伝える側に必要だ。英国サッチャー元首相の言葉に「考えが言葉に、言葉は行動に、行動は習慣に、習慣は人格に、人格は運命になる」と、聖書には「…語ろうとも、愛がなければ、私は騒がしいどら、やかましいシンバル。」とある。

月末の会員総会では、2020年度の報告と今年度の計画を、言葉を大切にし行動で示せるよう準備している。
                        (横浜YMCA総主事 佐竹博)