「喜びを与えたいんじゃない、届けたいのでもない、一緒につかみたいんだ。感動を与えたいんじゃない、一緒に感動したいんだ。あるべき監督像を追わず、自分らしくブレずにやっていく。引き受けたからには腹をくくり、前だけを見てつき進む。」背番号18が81になった「ハマの番長」の監督就任時に神奈川新聞の球団広告にあった文章の一部。
ひっくり返ったのは背番号だけではない、プレーヤーからマネージャーに、自分が全力を出すことからチームが全力を出せるように。ファンへのメッセージもさすが番長、かっこいい。
「一緒に」と強調された部分に、共感する人も多いと想像する。本誌今月の巻頭対談の鈴木弥也子さんもある集会で「私は環境活動家ではなく、ただの大学生です」と前置きしながら、マイクを持ち聴衆を前に力強く将来のために今すべきことを、一人ひとりの行動レベルの事例を示し、説明した。「それならできそうだ」と聴衆が共感する。番長も大学生も明確で「一緒に達成を目指したい」というメッセージに人びとが共感する。
YMCAの会員や職員が持つ「らしさ」を「心をひらき、分かち合う。前向きで、まわりを惹きつける魅力を持つ」と表現する。私たちもそれぞれの場で、今必要とされていることを提供しつつ、一人ひとりの目標の達成とともに、「一人がよくなると世界がよくなる」ことにつながると伝え、共に達成したいと発信していく。
一年の終わりと同時に、この年度も4分の3が過ぎた。新年にあたり私自身は、番長の最後の一文に励まされて、腹をくくり(私の場合は、歴史に思いを馳せ、足元を確かめつつ前を向く、のだが)つき進むように新しい年を歩みたい。
(横浜YMCA総主事 佐竹博)