ともだちって いっしょに
かえりたくなるひと。
ともだちって そばにいないときでも、
いまなにしているかなっておもいだすひと。
ともだちなら いやがることをするのはよそう。
ひとりでは、もてないおもいものもふたりでならもてる。
なかまはずれにされたらどんなきもちかな
(詩 谷川俊太郎 一部抜粋)
「ともだち」という絵本から抜粋させていただいた。絵本は章立てされていて、「ともだちって」「ひとりでは」「どんなきもちかな」「けんか」「ともだちはともだち」「あったことはなくても」と長文だが、それぞれの心に入っていく。友だちとは何か、子どもにとってはそうだなという思いと、大人になって忘れてしまっていることを教えてくれる詩だ。
2月に横浜の朝鮮学校を訪ねた。小学生たちが、自分のルーツである朝鮮の文化を生き生きと誇りをもって演じている姿に感動した。その中でこの「ともだち」の詩の全文の群読を聞いた。詩を呼びかけるように、それぞれのパートに分かれて読んでいて、子どもたちの思いが会場いた参加者の心に響き、大きな拍手に包まれた。
外国につながる子どもたちが、自分のルーツである文化や言葉を学ぶことは、人としてのアイデンティティーを育み人権を守ることにつながる。日本に住み、日本の文化に触れ、理解を深めながらもそれぞれの子どもたちのルーツの文化や言語は、大切されていくことが多文化共生社会だ。
朝鮮学校に差別や偏見でさまざまな嫌がらせが続いている。同じ地域に生きる者として、この子どもたちに大人たちが国を超えて友だちであるという姿を魅せられるようにしなければと心に刻んだ。
(横浜YMCA総主事 田口 努)