2020年2月21日金曜日

いじめは大人の問題

私をいじめるのって楽しいですか?
私がいじけるのを見るのがいい気持ちなんですか?
私が泣けば満足ですか?
私が学校へ来なくなればいいんですか?
あなたは結局私をどうしたいの?
ほんとは私を殺したいのかな?
あなたも誰かにいじめられてるんですか?
お父さんに?お母さんに?私の知らない大人に?
それとも誰にもいじめられていないのに
まいにちなにかにいじめられてるような感じ?
胸を押さえつけられるような いやあな感じ
それなら私にも分かる
私たちをいじめるのはもしかすると世の中っていうのかしら?
(詩 谷川俊太郎)

鶏を狭い鶏舎で育てているとストレスで、弱弱しい鳥のおしりを一羽がつつき始め、いつも間にか集団でつつき、はげた尻になる。その鶏を助けると、次は誰がつつかれるのか集団が不安になる。そして、一羽がつまずくと一斉に、その鶏をつつき始め、集団が落ち着く。鶏のスケープコードの行動だ。

人間も、この詩にある自分の中の何らかの不安やストレスを誰かにぶつけて、自分は、いじめる側の集団に居て安定するのだろうか?

いじめのきっかけは、世の中で弱くされている人への差別や偏見から始まる。福島からの避難児へのいじめでも、放射能汚染の不安や偏見が起因だ。マイノリティーがターゲットになる。マイノリティーを生み出し、差別する世の中の姿が子どもの世界の鏡となっている。大人がいじめ、差別、偏見への反対の姿勢と行動することが問われている。

(横浜YMCA総主事 田口 努)