2016年8月9日火曜日

総主事コラム ブログ 2016年8月

戦没者墓地と平和

主よ、わたしをあなたの平和の道具としてお使いください。
憎しみのあるところに愛を、
いさかいのあるところに許しを、
分裂のあるところに一致を、
疑惑のあるところに信仰を、
誤っているところに真理を、
絶望のあるところに希望を、
闇に光を、
悲しみのあるところに喜びをもたらすものとしてください。
慰められるよりは慰めることを、
理解されるよりは理解することを、
愛されるよりは愛することを、
(フランシスコの祈り抜粋)

 横浜山手の外国人墓地は有名だが、その数倍の広さの保土ヶ谷の外国人墓地を知る人は少ない。広大な芝生に同じ大きさの墓碑が2千あまりある。71年前の第二次世界大戦で、日本軍捕虜となり、炭鉱など各地での強制労働で亡くなった兵士の墓地「英連邦横浜戦死者墓地」だ。
 大きな十字架の下、清澄な空気と荘厳な雰囲気の中、死者たちが永遠の眠りについている。英連邦に属するイギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド・南アフリカ、インド各国の戦没者の墓地だ。
 同じ墓に見えるが、よく見ると20歳代が多く、それぞれの墓碑にメッセージがある。若くして異国で命を奪われた数多くの墓碑を見ると遠い過去が、今につながるが、静粛とまばゆい芝生と木々が平和の恵みを伝えている場だ。実は、捕虜収容所は各地にあり、平和な現在では考えられないが横浜市役所前の横浜公園も収容所だった。多くの捕虜が横浜港で働いた歴史がある。
 8月第一土曜11時には、今年も墓地で和解と平和を求める日本人の呼びかけで追悼礼拝がもたれる。8月に過去を見つめ未来の平和を考えたい。
(横浜YMCA総主事 田口 努)