2022年7月22日金曜日

SDGsよこはまCITY夏 国際協力・多文化共生からのアプローチ「多文化共生とは?~すまいと生活の視点から~」のご報告

7月2日(土)に、横浜YMCA国際・地域事業では「SDGsよこはまCITY夏 国際協力・多文化共生からのアプローチ」に参加し「多文化共生とは?~すまいと生活の視点から~」と題しセミナーを開催しました。

SDGsの17の目標の中、1番「貧困をなくそう」、3番「すべての人に健康と福祉を」、16番「平和と公正をすべての人に」、17番「パートナーシップで目標を達成しよう」に着目し、NPO法人かながわ外国人すまいサポートセンターの裵安(ペイ アン)さんを講師に、外国人のすまい事情から見えてくる多文化共生についてお話を伺いました。

外国につながるバックグラウンドを持つ裵さんは、外国人である友人の「外国人は日本での物件探しが難しい」という悩みに触れたことをきっかけに、外国人のすまいのことに関心をもつようになりました。そして、外国籍県民かながわ会議で住宅問題が重要課題として提言されました。外国人の住まい探しの課題を解決するため、2001年3月に、「かながわ外国人すまいサポートセンター」(以下、「すまセン」という)(ホームページ:https://sumasen.com/)が設立され、神奈川県内に在住または在住を希望する外国人に対して、賃貸住宅入居から退去時にあたっての各種相談・支援事業を行うようになりました。また、外国人が気軽に相談できるように、同年4月、横浜中央YMCA2階に相談窓口を開設しました。

すまセンでは、外国人に馴染みのない日本のすまい習慣と用語(敷金、礼金、原状回復、住宅の種類等)を説明するため、多言語版の住まいのマニュアル・ガイドを用意しています。長年の相談事例により、住居を探すだけではなく、それに付随する社会保障、行政面の課題も浮かび上がります。また、外国人だけではなく、すまいに困っている日本人住民の相談事例もあります。すまい相談を通して、日本社会の「多文化共生」について、今まで気づかなかった視点に気づくことがあるとお話しくださいました。


裵さんは、外国人のすまい事情から、「外国人問題」についてもお話してくださいました。日本において外国人受け入れが進んだ時代背景、外国人が日本に住むようになった理由はそれぞれあり、外国人の中でも在留資格、経済状況等によって格差があります。相談者一人ひとりの状況を聞いて、物件探しに関連する他の課題にも目を向ける必要があります。外国人が日本社会の一員としての権利を守るために、外国人当事者だけではなく、不動産関係者、行政関係者、外国人を支援するボランティアを含め、お互いの立場を理解し、意見を交換することが大事です。

質疑応答では、すまセンの相談事例で浮かび上がる外国人の権利、多文化共生等、課題に関心をもつ質問があり、参加者から率直な感想が出てきました。

※以下、参加者の一部感想をご紹介します。

・外国籍の方が、内見などを含めた住居探しができない場合が多いことや、外国人だけではなくて日本人もすまい探しの相談に来ていることなど、居住に関連した課題がまだまだたくさんあることに気がつきました。在留資格によって外国人同士の間でも格差が生まれていることは知らなかったため、これから調べて理解を深めていきたいと思いました。

・日本にいる自分が一体何人なのか?と常に問う外国にルーツを持つ方々は多いです。その彼らがアイデンティティを大切にしながら日本の中で気持ちよく暮らしていける環境作りを目指したいです。

・外国籍の方々や、弱い立場にある方々が、日常生活を安心して過ごすことの難しさを学び、認識を新たにすることが出来ました。

横浜YMCAでは、地域でともに暮らす隣人として、外国人が置かれている状況と権利を知り、共に生きる社会を目指して取り組んでいきます。

(国際・地域事業)