VISION2034の第1期中期3カ年計画の重点項目の一つに「自然災害に対する取り組み」がある。その内容には、防災・予防・訓練などの対処とともに災害時の支援活動なども含まれる。
2004年10月、私は中越地震直後の小千谷市にいた。YMCAの無い地域であったが、全国のYMCAが関わる支援活動となっており、私は全国YMCAより派遣されるスタッフのアレンジや現地での受け入れなどを担っていた。各地からスタッフが到着すると、はやる気持ちで活動に飛び出していこうとする。そのような仲間たちに時間をかけオリエンテーションとして、伝えていたことは私自身の経験に基づくことだった。
ある家庭に片づけに伺い、処分するものと、保管するものを選別し、運び出す作業だった。作業が予定通り終わったとき依頼主から、本当に一人で途方にくれていたが、片付けが進み、これで気持ちも整理がつき、またがんばろうと思えた。このような言葉をいただき、少し自分自身も達成感を得たと思った。しかし、そのあとに続いた言葉は「でもね、運び出されたあの山も大切なものだったのよ」と。どうやら私は「残す・捨てる」を次々に問いかけ、その方は迷っては申し訳ないと思い「捨てる」という決断をしたものが多かったようだ。「捨てる」と聞いた私はきっとそれをその山に放っていたに違いない。
「支援する」には、まず「○○させていただく」という心持ちが大切だ。相手の心のうちはすべて理解できないけれども、できるだけ思いを馳せるのが、YMCAのボランティアでありたい。隣人になろうとする努力はしすぎることはないと思う。いつ起きるか分からない災害に対し、人間性の向上、人格形成も心がけて備えておきたい。
(総主事 佐竹 博)