2021年7月10日土曜日

いのちを育む水

小学校学習指導要領【体育編】によると、高学年の水泳運動は、「クロール」「平泳ぎ」「安全確保につながる運動」で構成され、学校体育実技指導資料集「水泳指導の手引き」の安全に関する章では、「着衣のまま水に落ちた場合の対応の取り扱い」が紹介されている。そこには「自己の生命を守ることは、水泳指導の大きな狙いの一つ」で、事故を未然に防ぐこと、事故に出会った時、落ち着いて対処するすべを学ぶこととされている。しかし「各学校の実態に応じて」取り扱うこととなっており、減少傾向にあるようだ。

警察庁の発表によると、昨夏(7-8月)の全国水難事故は504件(前年比+43件)、水難者数616人(同+22人)、うち死者・行方不明者262人(同+23人)となり、2016年からの減少傾向が増加に転じたと報告された。

YMCAのアクアティックプログラムの目的は、いのちは大切であるということ、その大切ないのちを水の事故から守るための教育として、体験や技術習得を通し伝えることにある。参加者から家族や友人へ、YMCAから地域や社会へ、拡がっていくことを目指し、不特定多数のいのちを守りたいと願う。

今年もウォーターセーフティーキャンペーンとして、すべてのYMCA参加者に水の安全の啓発活動を行っている。各YMCAでは、近隣小学校等に着衣泳指導や先生方への救急法講習会などにも協力する。私たちは水なしでは生きてはいけない。口にする水も、作物を育てる水も、魚が住む水も、私たちは大切にしなければならない。そのいのちを育む水で、いのちを危険にさらしてはならない。このキャンペーンに真剣に取り組む。そして今夏の水の事故が減ることを切に願う。

(横浜YMCA総主事 佐竹博)