苦しいとき
母がいつも口にしていた
このことばを
わたしもいつのころからか
となえるようになった
そうしてそのたび
わたしの花がふしぎと
ひとつひとつ
ひらいていった
(詩 坂村眞民)
一生懸命に今を生き、念じるように祈り続けると、いつか花開くという詩だ。詩人の坂村眞民の母が36歳の時に、父を亡くし5人の子育てをしながら、いつも口にしていたという。
現代でもひとり親で子育てが困難な時代であることを考えると、長男として母を助けた坂村眞民は、今が苦しくてもいつか花開くと念じるように祈り、未来に希望をつなぐことを母の生き方から学んだのだと感じる。
坂村の別の詩「すべては光る」には、「すべては、光る。光らないものは、ひとつとしてない。みずから光らないものは、他から光を受けて光る」とある。坂村は、いつも他から光を受けて自分は光ると言っていたそうだ。私自身、念じるように祈る時、自分のために祈って花開いた思いは少ない。自分を含めた他者や未来への希望を念じ祈ったことは、時間がかかっても花開くという思いがする。
先日、韓国のYMCAの仲間と国同士の問題により関係が厳しい中で、市民レベルでの平和の構築がどのようにできるのか話し合いがあった。より互いを理解し合うように『平和の祈りの文』を創ろうと提案があった。このような危機を何度も経験し、祈りつつ乗り切ってきた。
あらためて、互いの光りを輝かし合えるように「念ずれば花ひらく」ことを信じて歩みたい。
(横浜YMCA総主事 田口 努)