2019年5月10日金曜日

共に命輝くとき

老人と子どもとは
不思議な親近性をもっている。
子どもはあちらの世界から
来たばかりだし、
老人はもうすぐあちらに
行くことになっている。
両者ともあちらの世界に
近い点が共通なのである。
青年や壮年がこちらの世界の
ことで忙しくしているとき、
老人と子どもは不思議な
親近性によって結ばれ、
お互いを、かばいあったり、
共感し合ったりする。(中略)
老人と子どもは正反対である
ことも事実である。
反対の部分と共通の部分と、
これが作用し合って、
老人と子どもの間に
興味のある交流が
生まれてくるのである。
(『子どもの宇宙』岩波新書・河合隼雄著)


河合さんは、大人は「量的世界観」の時間の流れに生きており、子どもと老人は「質的世界観」の時間の流れに生きている点で共通している。人間は、量的世界と質的世界のバランスをとり生きているが、現代社会は量的世界の価値観が強くなりすぎ生きづらくなっていると指摘する。

4月1日に、大和YMCAライフサポートセンター内に大和YMCA保育園が開園した。

保育園児の0歳から、高齢者のデイサービスにおられる101歳までの生涯を支えるライフサポートセンターとなった。高齢者中心だった施設に、毎日、乳幼児の親子が通い、1日中、乳幼児の声が響き、デイサービス利用の方の笑顔と喜びの時が増え、子どもたちのためにお手玉でも作ろうという声も上がり、張り合いが増えてきたようだ。自然に園児と高齢者が握手する姿も見られ、互いに笑顔が広がる。ゆったりとした時間がとても良い豊かな時となっている。

(横浜YMCA総主事 田口 努)