2016年11月17日木曜日

わび、さびを感じて

横浜YMCA地域交流事業「Enjoy Tea Ceremony(茶道を楽しもう)」実施のご報告
 横浜YMCA では、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと、多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど、相互交流の機会を設けています。
 11月10日にネパール1、ガーナ1、トルコ3、アフガニスタン1(社会基盤整備における事業管理)、ブラジル5(集団・音楽リハビリプログラム、個別短期:拮抗性Bacillus属細菌の検出・分離、集団・ソーシャルビジネスと日系団体運営管理)の11名と茶道ボランティアで茶道体験プログラムを行いました。
 当日になって参加希望を出した研修員もいて定員を超えるほどとなり、皆の日本文化への関心の高さが伺えました。中でもトルコ出身の女性研修員は日本滞在中に購入した浴衣を持ち込み着つけてもらい、和装でプログラムに参加するほど気合が入っていました。
お茶会が始まる前に研修員たちは茶道の歴史やお茶菓子・抹茶の頂き方について簡単な説明を聞き、その後、本日の会のリーダーを決めました。この時も手を挙げてリーダーに立候補する研修員が何人もいて、皆の積極的な姿勢が見られました。リーダーが決まると続いて誕生日順に席順を決め、お茶会が始まりました。
最初に床の間・茶道具の拝見の仕方を習いました。初めての複雑な動きに戸惑う研修員もいましたが、リーダーを先頭に参加者たちは真剣な表情で練習しそれぞれの席へと着きました。1つ目のお菓子が運ばれてくるとさらに皆の表情が緊張から引き締まりましたが、取り方を忘れてしまって手順を間違う研修員へは他の研修員が小さな声で教えてあげるなどしてスムーズにお菓子を回していきました。初めての和菓子、お抹茶は研修員たちにも好評で、みなで美味しく頂きました。特にこしあんのお饅頭は甘さも程よく、食感も良いとほとんどの研修員が完食していました。
 全員で主菓子と1杯目のお抹茶を頂いた後は二手に分かれて、お抹茶体験をしました。
研修員たちは順番に簡易の着物や法被を身に着けてお茶を点てる役、お菓子・お茶を運ぶ役、お客役を体験しました。日系のブラジル研修員たちの中には以前に着物の着方を習ったことのある人やお茶の体験をしたことのある人もいて、講師が驚くほど手順の飲み込みが早く、美しい身のこなしでお茶を点てていました。
自分の点てたお抹茶が美味しく出来たかどうか心配そうに見つめる研修員に、お客役の研修員が美味しいと頷くとお互いの顔に笑顔が広がり、和やかな雰囲気の中、お抹茶体験は進みました。
お茶会の終わりのころには「お辞儀の数が多く何故何度もお辞儀するのか理由がわからない」と話す研修員に講師が説明する前に、それぞれのお辞儀の意味を教えてあげられるほど理解している研修員もいました。
会に参加した研修員はお抹茶の手順は複雑で、なかなか一回では覚えきれないけれど、お茶を点てたり飲んだりするとそれだけでとても落ち着いた気持ちになれて良かったと感想を述べていました。
国籍も研修内容も異なる研修員たちが集い、共に時間を過ごせた“一期一会”に感謝しつつお茶会はお開きとなりました。
YMCAプログラムではこれからも様々な体験を通して日本文化を学ぶ機会をつくっていきたいと思います。
(JICA-YMCAデスク 野田真由美、石川義彦)