2016年9月23日金曜日

世界のトヨタを知りたくて

横浜YMCA地域交流事業「Kanagawa TOYOTA Tour神奈川トヨタ自動車見学」実施のご報告
 横浜YMCAでは、独立行政法人 国際協力機構 横浜国際センター(JICA横浜)の海外研修員の地域交流事業を受託し行っています。研修員の方々には日本への親しみと、多くの地域の方々には国際協力や海外への関心を深めて頂くなど、相互交流の機会を設けています。
9月10日にマラウィ1(空港建設、運営、維持管理計画策定)、ドミニカ1、レソト2、モザンビーク1、モンゴル1(インクルーシブ教育・特別支援教育の推進)、エチオピア2(建設機械設備及び建設施工技術、空港建設、運営、維持管理計画策定)、セネガル1(職業訓練の運営・管理と質的強化)、ケニヤ1(建設機械設備及び建設施工技術)、ブラジル2(家畜感染症及び人獣共通感染症の診断予防技術、医療材料と再生医療)、ペルー1(植物遺伝資源の多様性保全に関する先端科学教育)、アフガニスタン4(インクルーシブ教育・特別支援教育の推進、建設機械設備及び建設施工技術、PEACE/2014・農学・横浜市立大学生命ナノシステム科学研究所)、ミャンマー2(インクルーシブ教育・特別支援教育の推進、空港建設、運営、維持管理計画策定)、の19名で神奈川トヨタの本社を訪問しました。
 行きのバスの中ではトヨタ及びトヨタの生産方式とカイゼンの情報を得ながら横浜近くの神奈川トヨタに向いました。最初に会議室にて日本の自動車販売の現状と神奈川トヨタの具体的な取り組みについての説明を聞きました。研修員たちは販売店が顧客の走行距離や家族構成・年齢などの様々なデータを元に、ただ車を販売するのではなく、タイヤの交換時期のアドバイスやチャイルドシート購入の提案など顧客のニーズに合ったサービスを提供しているという話に、そこまで徹底したサービスをするのかと驚いていました。顧客データを「宝の山」なのだという点に大いにうなずいていました。
 続いてトヨタ最新の水素エネルギー車“MIRAI”の仕組みと、水素電池についての説明を聞きました。「この自動車にはエンジンがありません!」という言葉に研修員たちは冗談だと笑って聞いていましたが、水素電池の仕組みについて聞くうちに真顔になっていきました。そして”MIRAI”がクリーンでエコな、夢のようなエネルギー自動車であり、それが今日見学できるとわかると驚きの声が上がりました。
説明を聞いた後はショールームへ移動し、展示車を見学しました。 最新のスポーツ車ーやミニ電気自動車、そして特にボタン操作でイスが自動で回転・上下する福祉車の人気は高く、実際にボタンを操作したり、座り心地を確かめたりする研修員が多くいました。実際に試してみた研修員は、自分のタイミングでイスを止めたり動かしたり出来るのが安心だと話していました。次に整備工場を見学しました。明るくて整理整頓された整備場に研修員たちは驚いた様子でした。空調もきちんとコントロールされて快適な環境であることや、女性の整備士が多くいることも海外の整備場とは大きく違うと話していました。
最後はお待ちかねの“MIRAI”の見学でした。青く輝く車体に研修員からも歓声が上がりました。車のスタートスイッチを入れても全くエンジン音のしない車に研修員たちは興味津々で、車体の前を覗き込んだり、運転席に座って車内を見回したりしていました。車の後ろ側に回ると、排気ガスが出てこない代わりに水が排出される様子が実際に確認でき、会議室で聞いたとおりの化学反応が車の中で起きていることを実感していました。
“MIRAI”を見学後、会議室に戻ると研修員からは「“MIRAI”はどれくらいの台数が販売されたのか?」「温度や標高は自動車の性能に影響しないのか?」「“MIRAI”の未来には何がくるのか?」など、様々な質問があがりました。これまでに販売された“MIRAI”は数百台だけど予約者は数千人にいることや、“MIRAI”の製造はすべて手作業のため手間がかかり、1日10数台しか作れないが日本国内だけでなく世界からも注文が入っていて、今注文を受けても納入は4、5年後になること、すべての環境に対応できるように何千回、何万回もテストを行っていること、超高齢化社会に突入する日本では過疎地の交通手段に完全自動運転を導入しようとしていることなどの話を聞いた研修員は、何十年も先の未来の生活を考え、実現に向けて日々進歩している技術と人々の努力に改めて驚いていました。難しい技術の話をわかりやすく、丁寧に説明してもらえてとても勉強になったと感想を述べていました。
YMCAデスクでは今後も様々な体験を通して日本の技術・文化を学ぶ機会を作っていきたいと思います。
(JICA-YMCAデスク 石川 義彦、野田真由美)