2019年7月10日水曜日

へいわって?

せんそうをしない。
ばくだんなんかおとさない。
いえやまちをはかいしない。
おなかがすいたら
だれでもごはんがたべられる。
いやなことはいやだって
ひとりでもいけんがいえる。
あさまでぐっすりねむれる。
おもいっきりあそべる
(中略)
へいわってぼくがうまれて
よかったっていうこと。
きみがうまれて
よかったっていうこと。
そしてね、きみとぼくは
ともだちになれるってこと。
(絵本作家 浜田桂子)


浜田さんは、日本、韓国、中国の絵本作家に、平和の絵本を共に創ろうと考え、まず韓国に呼びかけた。 当初の反応は「企画は、素晴らしいが、表面的な平和を言うのであれば、意味がない」と厳しい表情だったという。

ところが、ソウルを訪ね、日本軍の韓国への加害の歴史を共に学ぶ機会を持つと表情も和らぎ、前向きになり、数年後に、中国の絵本作家も交えて南京で会議を持った。絵本の案を発表し、プロジェクトが実現できるかもという高揚感もあり、ホテルの一室に集まり、互いに歌を歌ったり、絵本と子どもへの思いを交換し、国を超えた友情を深め、翌日は涙の別れとなった。

これを機に、浜田さんの絵本案に関しても率直に意見が飛び交い、葛藤の日々を超えてできた絵本が『へいわってどんなこと』だ。時間をかけて加害と被害の両方から見渡し、子どもたちに平和を伝える思いを自ら実感する中で誕生した絵本となっている。

互いに意見を言い合える、友だちになれることは絵本作家の体感したことである。日々の営みの中で生まれて良かったと言える平和を創っていきたい。

(横浜YMCA総主事 田口 努)