過去と現在、未来の共鳴。鎮魂歌よ届け悲しみの過去に。
命よ響け。生きゆく未来に。
私は今を、生きていく。
(港川中学校3年相良倫子)
今年の沖縄戦全戦没者追悼式の平和の詩の最後の部分だ。「過去と現在と未来の共鳴」という言葉が心に響く。8月は、沖縄戦から長崎、広島の原爆被災者の追悼、終戦記念日と過去を直視し現代を見つめ、未来の平和につなげる時を共鳴させる月だ。
保土ケ谷に、横浜山手の外国人墓地の数倍の広さがあり、1800人を超える戦没者が眠る英連邦墓地がある。周囲が深い緑に包まれ、美しく整備された芝生で覆われ、静寂さを保っている。墓標を見ると1940年代前後に亡くなられ、10代後半から20代前半の若者たちの墓であることが分かる。第二次世界大戦中の戦没者だが、捕虜として日本で亡くなった人びとだ。捕虜収容所は、日本中にあり炭鉱や軍需工場などで過酷な労働や栄養不足、軍人による虐待、暴力などで亡くなった方が多い。生き残った捕虜たちの心の傷は大きく憎しみも深い。
24年前から日本人による追悼会を開き、捕虜の歴史を探り、当時の軍の行為や背景を見つめつつ、捕虜たちを招き、現代の日本人との交流、平和を語る機会を創ってきた人たちがいる。その活動で捕虜たちの憎しみを平和の礎に変えている。これこそ「過去と現在と未来の共鳴」だと思う。
今年も8月4日午前11時から保土ケ谷公園で英連邦の大使や遺族などを招いて行われる。8月は、身近な地域の戦争遺跡等を訪ね、過去と現在、未来の共鳴する時を大切にしたい。
(横浜YMCA総主事 田口 努)