真赤なお鼻のトナカイさんはいつも、みんなの笑い者
でもその年のクリスマスの日 サンタのおじさんは 言いました。
暗い夜道は、ピカピカの お前の鼻は役に立つのさ
いつも泣いてたトナカイさんは今宵こそはと喜びました。
(作詞・作曲J・マークス)
この詩の原作は、貧しい広告業で働くロバート・メイとガンに倒れて病に苦しむ妻エヴリンの4歳の娘バーバラが、「どうして私のママは、みんなと違うの?」と尋ねた一言から生まれた。貧しく看病に追われ、母親に甘えることができない娘の言葉にがくぜんとし、ロバートも子ども時代に体が弱く、いじめられ貧しく「みんなと違う」という思いを重ねてクリスマスの時期のある晩に、娘のために即興で話した物語がルドルフという赤鼻のトナカイだ。その話をバーバラは、とても喜んだ。
ロバートは物語を通して「神さまは一人ひとりに違った賜物を創られていて、それは、いつか輝き、人を幸せにしてくれる」という思いを娘に語ったのだ。ロバートは、この物語を手づくり絵本にし、クリスマスプレゼントとして娘に贈った。母親は完成を待たず亡くなったが、きっと天国で喜び、輝く星のように父娘を見守っていただろう。
その後、会社のパーティーでロバートが、この物語を朗読すると大絶賛で、1939年のクリスマスに勤務先の広告会社から配布され600万部の大ヒットとなった。9年後ロバートの従妹のJ・マークスが作詩、作曲した。
初版の絵では、赤鼻がまるでクリスツリーのトップスターと同じように、イエスの生誕に羊飼いや三賢者を導いた輝く星のようだった。
(横浜YMCA総主事 田口努)